室内で洗濯物を乾かす際に役立つのが、「衣類乾燥機」と「除湿機」です。
これから購入する場合は、どっちを選ぶべきか迷いますよね。
除湿機は、湿気を取り除く機能を持つ家電です。
最近では、単なる除湿機能だけでなく、洗濯物を乾かすための機能も備えた「衣類乾燥除湿機」が普及しています。
ではどちらが部屋干しするときにいいのかというと、洗濯物を早く乾かしたいなら衣類乾燥機の方が除湿機(または衣類乾燥除湿機)よりも乾燥時間が早いです。
ですが、衣類乾燥機は設置場所が必要といったデメリットがあり、電気代ランニングコストや騒音も考慮しなくてはいけませんので一長一短です。
今回は「衣類乾燥機」と「除湿機(衣類乾燥除湿機)」の性能の違いや、購入費や光熱費などのランニングコストを比較し、どちらを選ぶべきか、選ぶ際のポイントをご紹介します。
衣類乾燥機と除湿機の違い
室内干しするときに、洗濯物をただ部屋に干しておくと、生乾きの嫌な臭いがついてしまうことがありますよね。
これは、湿った状態の洗濯物に細菌が繁殖するため起こるものです。
そのため、生乾きの臭いを防ぐためには、洗濯物をできるだけ短時間で乾かすことが大切です。
洗濯物を早く乾かすためには、いくつかの方法があります。
例えば、室温を上げたり、部屋の湿度を下げたり、洗濯物に風を当てたりすることが効果的です。
その中でも、衣類乾燥機と除湿機(衣類乾燥除湿機)は、効率的に部屋の湿度を下げて風を送るので、洗濯物を短時間で乾かすことができます。
どちらもただ部屋干しするより洗濯物が早く乾くメリットがありますが、衣類の乾かし方と性能には違いがあります。
除湿機は部屋干しの衣類に温風を当てるのに対して、衣類乾燥機は機内の密閉空間内に入れた衣類に温風を当てることで洗濯物を乾かします。
ただ、除湿機は好きな場所に置くことができることに対し、衣類乾燥機の場合はある程度のスペース・設置場所が必要です。また、導入コストも衣類乾燥機の方が除湿機よりも高額です。
除湿機のメリットとデメリット
通常、除湿機と聞くと、部屋の湿度を下げる機能だけを備えた家電を指しますが、最近では洗濯物を乾かすための機能も備えた「衣類乾燥除湿機」が注目されています。
衣類乾燥機との選択に迷っている方々は、除湿機ではなく衣類乾燥除湿機を検討されることが多いかと思いますので、こちらでは衣類乾燥除湿機の特徴をご紹介します。
この機器の主な使い方は、部屋の中に干した洗濯物に、除湿機または衣類乾燥除湿機から出る温風を当てることで、衣類の水分を飛ばし、洗濯物を乾かすことです。
そんな衣類乾燥機の利点と欠点は次の通りです。
除湿機のメリット① 場所を選ばずどこでも使える
除湿機は、多くの場合軽量で持ち運びが便利です。お好きな場所に移動させてご使用いただけます。(ただし、製品によっては重たいものもあります)
除湿機のメリット② 洗濯物にシワや縮みができる心配がいらない
除湿機を使用する際には、洗濯物をハンガーなどで干した状態で利用します。そのため、衣類乾燥機を使うときのように、衣類が縮んだりシワができたりする心配はありません。
除湿機のメリット③ 騒音・振動が控えめ
一部の製品を除き、多くの除湿機は比較的振動や騒音が少なく、夜間でも使用することができ、睡眠を妨げるほどのものはありません。
除湿機のデメリット① 洗濯物を干す必要がある
除湿機を使う際には、衣類をハンガーなどで干す手間が発生します。これは、外干しと同様の手間が必要です。(シワや縮まない利点の反面、手間が発生します)
除湿機のデメリット② 使用時期によって性能に差がでる
除湿機の性能は、使用する季節や環境によって影響を受けることがあります。
除湿機を選ぶときに気を付ける除湿方式
除湿器は除湿方法で大きく分けて3つの方式があり、それぞれが適する時期や状況が異なっています。
除湿機の除湿方式① デシカント方式
– 冬の低温環境に適しています。
– 乾燥剤が湿気を吸収し、ヒーターや熱交換器で水に変え、除湿します。
– 一年中使える軽量でコンパクトなサイズで、振動の音が小さいですが、室温を上昇させ、消費電力が大きいというデメリットもあります。
除湿機の除湿方式② コンプレッサー方式
– 夏や湿気の多い梅雨など、高温多湿な時期に効果的です。
– 湿気を冷やして水滴に変え、除去する方式です。
– 消費電力が小さく、室温はあまり変わりませんが、本体が大きくて重く、寒い時期や振動の音が大きいというデメリットがあります。
除湿機の除湿方式③ ハイブリッド方式
– 一年中使用できる万能な方式です。
– デシカント方式とコンプレッサー方式を組み合わせ、状況に応じて使い分けます。
– 本体が大きくて重く、他の方式より価格が高いですが、消費電力を抑えられる利点があります。
衣類乾燥機のメリットとデメリット
衣類乾燥機は、除湿機とは異なり、洗濯物を密閉した空間に入れ、温風を当てて乾かします。
洗濯物を干す必要はなく、洗濯機で脱水した後、衣類を乾燥機の中に入れ、扉を閉めてスイッチを押すと、自動的に乾かしてくれます。
衣類乾燥機の利点と欠点は次の通りです。
衣類乾燥機のメリット① 洗濯物を乾かす時間が早く、嫌な臭いがつきにくい
衣類が迅速に乾燥し、生乾きの嫌な臭いが軽減されます。
衣類乾燥機のメリット② 衣類を干す手間がない
衣類を干す手間が省けます。洗濯機から乾燥機への移動で完了です。
衣類乾燥機のメリット③ しっかり乾燥できて肌触りも良い
衣類を回転させた状態で温風を当てるため、柔らかく肌触りが良くなります。
衣類乾燥機のデメリット① 導入コスト(製品の価格)が高い
除湿機に比べて価格が高いことがあります。特に洗濯機と一体型の場合は更に高額です。
衣類乾燥機のデメリット② 設置場所が必要
洗濯機と同様に設置スペースが必要です。本体が大きいため、持ち運びができません。
衣類乾燥機のデメリット③ 衣類が縮んだりシワができる可能性がある
熱に弱い衣類は縮んでしまうことがあります。また、除湿機で乾かしたものに比べてシワができやすいです。
特に衣類の種類によっては、乾燥後にアイロンがけが必要な場合もあります。
衣類乾燥機を選ぶときに気を付ける除湿方式
衣類乾燥機には、ガス式と電気式の2種類があります。
それぞれの方式にはそれぞれの利点と欠点がありますが、簡潔にまとめると次のようになります。
– 乾燥時間が早い
– 光熱費が安い【ガス式のデメリット】
– 本体が高価
– 設置できない場合がある
– 工事が必要な場合がある
– 設置しやすい(工事不要)
– 本体が安価【電気式のデメリット】
– 光熱費が高い
– 乾燥時間が長い
ガス方式は乾燥時間が速いものの、ガスの供給が必要なため設置できる場所に限りがあります。一方、電気式は設置が容易であり、使いやすいとされます。
そのため、乾燥時間が長く、光熱費が高くても、設置場所に制限がない電気式の衣類乾燥機が一般的に導入しやすく、利用しやすいと言えます。
衣類乾燥機と除湿機を比較すると、それぞれの特徴から得られるメリットとデメリットがあります。以下の表でまとめてみました。
| | メリット | デメリット |
| 除湿機 | – どこでも使える | –
メリット | デメリット | |
除湿機 | どこでも使える
シワや縮みができにくい 騒音・振動が控えめ |
洗濯物を干す必要がある
時期により除湿性能に差がでる |
衣類乾燥機 | 乾燥時間が早い
いやな臭いがつきにくい 衣類を干す手間がない |
導入コストが高い
設置場所が必要 縮みやシワができやすい |
ちなみに私は、洗濯乾燥機と除湿機の両方を使っていますが、洗濯乾燥機では約42Lの洗濯物を2時間程度で乾かし、除湿機では10着前後の衣類を半日程度かけて乾かします。なので、洗濯乾燥機の方がいつも早く乾いています。
また、乾燥した衣類の肌触りも、除湿機よりも洗濯乾燥機の方が湿気がなくてフンワリしています。
我が家は衣類乾燥機ではなく洗濯乾燥機を使用していますが、構造的には同じなので参考までに取り上げました。
洗濯乾燥機でも除湿機よりも早く乾いていますが、実際に使用するときは、電気代や乾燥にかかる具体的な時間なども考慮する必要があります。では具体的にどれくらいの時間や電気代がかかるでしょうか?
衣類乾燥機と除湿機の電気代と乾くまでにかかる時間
衣類乾燥機と除湿機を使って衣類を乾燥させる際、具体的にどれくらいの電気代と時間がかかるのでしょうか?
東京電力技術開発研究所が「梅雨時期の部屋干し」として自社内で実験した結果によると、乾燥時間と電気代は次のようになります。
- 除湿機 (コンプレッサー方式)
乾燥時間 3時間49分
電気代25.1円 | - 衣類乾燥機 (電気式)
乾燥時間 2時間29分
電気代62.5円
※ これらの数値は約4.5kg(60L程度)の衣類で、電気料金は22.86円/kWh(税込)で換算されています。
※ 気温や湿度、天候、地域によって異なる場合があります。
この結果から、除湿機(衣類乾燥除湿機)は乾燥には時間がかかりますが、電気代は衣類乾燥機よりも安く、コスパが良いとされています。
なお、先程の値は除湿機がコンプレッサー方式のみで比較されているため、除湿器の各方式ごとでも比較してみました。
- デシカント方式 (パナソニック F-YZSX60) 108分 22.7円
- デシカント方式 (パナソニック F-YZSX60) 178分 19.2円
- デシカント方式 (パナソニック F-YZSX60) 190分 24.3円
- コンプレッサー方式 (SHARP CV-L180) 80分 13円
- ハイブリッド方式 (パナソニック F-YHSX120)【速乾モード】 75分 24.3円
- ハイブリッド方式 (パナソニック F-YHSX120)【おまかせモード】 104分 11.1円
コンプレッサー方式は他の方式と比較するには古い情報ですが、最近のコンプレッサー方式の除湿機としてSHARP CV-L180と比較しました。その結果、コンプレッサー式が低コストで最も早く乾燥できることがわかります。ですが、冬場の除湿能力が下がるため、年間通して使用すると電気代が高くなることがあります。
同様に、パナソニック製品のデシカント方式とハイブリッド方式では、速乾モードではデシカント方式の方が安くなりますが、おまかせモードで比較するとハイブリッド方式の方がコスパが良い結果となっています。
以上の結果から、どの方式も多少の差はありますが、素早く乾かすほど電気代が高くなります。そのため、おまかせモードにすると多少乾くまでに時間がかかっても一番電気代が安くなる傾向があります。
衣類乾燥機と除湿機はどっちがおすすめか
衣類乾燥機と除湿機を比較してみると、それぞれには次のようなメリットやデメリットがあります。
除湿機のメリットは、どこでも使えることや、シワや縮みができにくいこと、騒音や振動が少ないことです。また、衣類乾燥機よりも電気代が安い点も魅力的です。一方で、洗濯物を干す必要があることや、季節によって除湿性能に差があること、乾燥時間がかかることがデメリットとして挙げられます。
一方、衣類乾燥機のメリットは、乾燥時間が早く、いやな臭いがつきにくいこと、衣類を干す手間がないことです。しかし、導入コストが高く、設置場所が必要で、衣類が縮んだりシワができやすいというデメリットもあります。さらに、除湿機よりも電気代が高い点も注意が必要です。
実際のところ、衣類乾燥機は設置場所や導入コストの点で使い勝手が悪い場合があるため、除湿機の方が使い勝手が良いと言えます。
ただし、洗濯機自体を買い替える予定があるなら、乾燥機能がついた洗濯機を選ぶことにして、除湿機は買わないという選択もアリです。それなら、あとから除湿機を買うこともできますので、うまく使い分けて乾かすことができます。
例えば、洗濯乾燥機で下着やタオル類を乾かして、シワや縮みができやすい衣類は除湿機で乾燥させることもできます。
まとめ
衣類乾燥機と除湿機を比較すると、それぞれには利点と欠点があります。
除湿機は使い勝手が良く、シワや縮みができにくいですが、洗濯物を干す必要があり、乾燥時間が長くなることもあります。
一方、衣類乾燥機は乾燥時間が早く、臭いがつきにくいですが、導入コストが高く、設置場所が必要で、電気代も除湿機より高くなります。
個人的な経験から言えば、両方用意して洗濯する衣類によって使い分けることが便利ですが、二つを買いそろえるのは難しい場合もありますよね。
その場合は、家庭の状況や重視するポイントを考慮して、どちらが最適かを検討してみると良いでしょう。