かわいい息子にとって初めての端午の節句がやってくると、
新しい鯉のぼりや五月人形を用意するのはもちろんですが、
夫が以前使っていた節句の飾りをそのまま活用したいと思ったことはありませんか?
鯉のぼりや五月人形は手頃でない価格で、高価なものが多いです。
夫のときに使用された節句飾りが立派で状態もまだ美しく、
十分使えそうであれば、
新しいものを買うよりも夫のものを受け継いで使いたい気持ちになりますよね。
中には、義両親から夫が子どものころに飾っていた五月人形や兜を
そのまま飾ってくださいと言われた方もいらっしゃるかもしれません。
ただ一方で、子供にとって父親のお下がりを節句飾りとして使用してもいいのか、
それによって何か問題が生じないか気になりますよね。
節句飾りのお下がりに関してはOK・NG、様々な説が存在しており、
調べるほどに混乱してしまいます。
結論からいえば、五月人形や兜など節句飾りを
代々受け継いで使うのはアリです。
五月人形や鯉のぼりは父親のお下がりでも問題ありません。
私自身も気になったので、息子たちのときに気になったので
端午の節句の由来から五月飾りの意味を調べました。
今回は鯉のぼりや五月人形が父親のお下がりでもなぜ問題ないのか
その理由や端午の節句の意味、なぜ使い回しには制限があるのかなど、
詳しくお話ししますので、興味があればぜひご参考ください。
鯉のぼりは父親のお下がりを使っていいのか
夫が子供の頃に使っていた鯉のぼりや兜、五月人形は、
息子の節句で使用しても良いのでしょうか?
一般的には賛否があり、良いとも悪いとも言われていますが、
まず鯉のぼりから取り上げます。
前提として、鯉のぼりが飾られる由来を考えると、
父親の鯉のぼりを息子の五月飾りで使用するのは全く問題ありません。
鯉のぼりが飾られるようになった由来
鯉のぼりが飾られるようになったのは、
端午の節句の習慣に由来しています。
元々端午の節句は、その時期に旬を迎える菖蒲が、
健康を保ち邪気を祓う力があると信じられていたため、
菖蒲を飲用や入浴、家の軒に飾るなどして邪気を祓う習慣でした。
(これが元で「菖蒲の節句」と呼ばれることもあります)
武家では菖蒲を「尚武」と結びつけ、
虫干しを兼ねて先祖伝来の鎧や兜、旗指物ののぼりを飾り、
家系を継ぐ男児の出世や健康を祈る年中行事に変わりました。
「尚武」は武道と武勇を尊ぶこと、
「旗指物」は戦場で目印となる鎧の背に差す小旗を指します。
武家は鎧や兜、旗指物を飾り、
商人は武士に対抗して武具の豪華な模造品や、
のぼりの代わりに五色の吹流しを飾るようになりました。
この吹流しは単調なデザインから次第に鯉の絵が描かれたものに変化し、
現在の鯉のぼりの形へと進化していきました。
鯉のぼりを飾る意味
鯉のぼりは武家が使う旗指物に対抗して商家が製作したもので、
それを玄関先に掲げることで「この家には男児がいます」という合図をしています。
従って、男の子が誕生するたびに新調する必要はなく、
必ずしも新しいものを用意する必要もありません。
父親が以前使っていた鯉のぼりを引き継いで飾るのは
おかしなことではないので安心してください。
また最近は鯉のぼりを飾る家庭が減少していますし、
新しく購入するよりも既存のものを利用する方が良いかもしれません。
ただし、あまりにも大きい鯉のぼりは場所に困ることもあるので、
鯉のぼりを飾りたいけれども、夫の鯉のぼりはサイズが合わなくて飾れない
などの場合には、新しいものを検討する方が良いでしょう。
五月人形で父親のものを引き継ぐのはアリか
五月人形の鎧や兜をお下がりで使用することに関しては、
鯉のぼりと同様に、
必ずしも使い回しは避けるべきではない
と言えます。
先程説明したように、鯉のぼりや兜などの五月飾りは、
武家が菖蒲と「尚武」を掛けて男児の繁栄や健康を祈り、
先祖からの鎧や兜、旗指物の鯉のぼりを虫干しの一環として飾り、
商家も武家に対抗して
武具の模造品や鯉のぼりを使い始めた
という経緯があります。
元々は先祖の武具を飾っていたことから、
息子が父親の鎧や兜を使うことには何の問題もありません。
五月飾りの使い回しがダメ・NGといわれる理由
五月飾りが「一人一つ、使い回しは控えるべし」とされるのは、
女の子の節句「ひな祭り」における人形飾りの考え方が
混ざった結果だと考えられます。
雛人形は、女の子の厄除けとして川に人形を流す習慣が、
女の子の人形遊び「ひいな遊び」と結びつき、
現在のように立派な雛人形を飾って厄払いや健康を祈る風習になりました。
そのため雛人形をお下がりで使用することは、
祓った厄が戻ってくるから良くない
とされ、使い回しは避けられるようになりました。
そして男の子の節句においても五月人形を使い回すことは、
祓った厄が巡り巡って降りかかり、
縁起が良くないと考えられ、そのためNGとされるようになりました。
また、それ以外にも、人形メーカーが販促のために
流した話だともいわれています。
(個人的にはこちらが有力ではないかと思いっています)
五月人形を代々受け継ぐことの意味
父親のお下がりで五月人形を使用することには、
厄も引き継ぐから縁起が悪いと考える方もいらっしゃいます。
一方で、子ども時代に自らが成長する過程で見守ってもらった五月人形には、
我が子やその子孫の成長を同様に見守ってもらいたいという願いが込められ、
代々受け継ぐことを望む方も多いのです。
子供の幸せを願う親の思いが込められた鎧や兜は、
親から子へ、そして子から孫へと代々受け継がれることで、
心の継承にも繋がります。
「おさがり」と聞くと、使い回しのネガティブな印象が浮かびますが、
この場合は代々受け継ぐ伝統と言えます。
私は五月飾りを代々継承していくことが望ましいと思いますが、
気が進まない場合は無理してお下がりを使う必要はありません。
夫婦で合意が得られれば、新しいものを用意することも良いと考えます。
由来を考えると、子供の父親が端午の節句に飾った五月人形を使用することには、
何の問題もないと言えますが、
考え方は人それぞれですので、夫婦や両家の両親と
しっかり話し合い、新しいものを用意するか、
夫が使った五月飾りを引き継ぐかをしっかり決めることがお勧めです。
まとめ
昔の五月飾りには家紋を入れることが一般的でした。
普段はあまり家紋を見る機会がないかもしれませんが、
「自分の家の家紋」を見ると、
先祖が受け継いできた命の重さや歴史を感じ、
心が引き締まるものです。
五月飾りも、我が子に引き継がれていくものと考えれば、
子どもの父親のものを気にせずに飾って良いと思います。
ただし、具体的な決まりは存在しませんので、
ご夫婦やご家族で納得できる形でお子さんの初節句をお祝いするのが
一番良いと考えます。
素敵な端午の節句をお過ごしくださいね。